今回ご紹介するのは、沖縄県北部にある古宇利島の観光施設「古宇利オーシャンタワー」さん。オープンして4年、多くの観光客が集まる、青い空と海が美しいスポットです。インバウンド向けの消費税免税にももちろん取り組んでいらっしゃいます。
古宇利オーシャンタワーのご紹介
古宇利島は沖縄本島北部にある屋我地島の北に位置し、今帰仁村に帰属する小さな島です。那覇市内からは車で90分ほどの距離にあり、離島ならではのきれいな海と「沖縄版アダムとイブ」と呼ばれる伝承があることで有名です。
この古宇利島に2013年末にオープンしたのが、(株)名護パイン園が運営する古宇利オーシャンタワー。観光テーマパーク、お土産、レストラン事業などを提供する観光施設です。
トリップアドバイザーによる観光施設評価であるエクセレンス認証も受けており、一貫して最高のホスピタリティを提供し続ける観光施設です。
インバウンドの状況は?
沖縄県は年間150万人の訪日客で賑わう一大観光地であり、その内の8割以上が台湾、韓国、中国、香港からのお客様です。インバウンド人数の伸び率は2017年4~9月では前年比121%になり、このままいくと2023年には人数で日本人を追い抜いてしまう勢いです。
この古宇利オーシャンタワーには台湾と香港のお客様が多く、広い店内には滞在を楽しむ日本人、訪日客が見られます。
免税ショッピングは?
2015年12月に免税店として認可を受けました。名護パイン園にも外国人のお客様が多く来場いただいていて、外国語表記などの対応はずいぶんと力を入れていました。そんな流れもあって免税店になるかどうかは2014年から検討しており、免税販売は免税店認可直後の2016年1月から開始しました。
現在は2年近く経ちますが、初年度と比べると現在は1ヵ月の免税取扱額は3倍以上になるほど成長しています。
館内の店舗は大きく分けて2つあります。ひとつはお菓子などが中心の売場、もうひとつはサンゴなど高額なものを扱う売場です。
お菓子売場での人気は、店員の方が「インバウンドにはダントツ」とコメントするパインチョコちんすこう。昔から沖縄土産定番のちんすこうを名護パイン園がアレンジしたオリジナル商品です。従来のちんすこうを、ホワイトチョコをベースにパイナップル果汁をブレンドしたパインチョコでコーティングした人気商品になります。しっとりした歯ごたえが従来のちんすこうのイメージを大きく変えています。
南国フルーツの代表のひとつであるシークヮーサーをギュっと絞ったシークヮーサー原液ボトルも人気です。
一方でサンゴを加工したネックレスや指輪も人気。特に中国には人気の高い「血赤サンゴ」の商品も扱っており、まさに免税効果を訪日客に実感いただける商品でしょう。もちろんお菓子のようにはバンバンとは売れませんが、日本産の血赤サンゴは沖縄近海や土佐湾周辺でしか獲れず、希少性が高いため人気があります。ビー玉のように大きなものは高額ですが、ネックレスなどはお手頃価格のものもあります。
訪日客もご家族でいらっしゃることも多いので、家族でまとめて段ボール箱に包装するようなお買い上げをする方もたまにいらっしゃるようです。
対応方法は?
免税店登録の後に、免税店のシンボルマークはもちろん申請済みで、写真にあるようなオリジナルの壁掛けPOPや卓上POPでお客様向けに掲示をしています。
施設内のレジはセルフレジを導入しています。セルフレジは、店員が会計するレジとは違ってお客様自身に会計・清算していただくものです。お客様自身で清算していただいている間に免税書類作成や消耗品の包装ができるので、時間短縮ができています。投資額は少なくありませんが、費用対効果はあるので助かっています。県の補助金制度もあるので、うまく活用しています。
取材を終えて
沖縄はこの数年でインバウンドを迎え入れる雰囲気が大きく変わり、環境がかなり整ってきた印象があります。県内の免税店登録件数も改正前と比べておよそ11倍になり、那覇市の中心部にある国際通りには免税シンボルマークで満ち溢れています。大型のクルーズ船のお客様も増えており、県を挙げて取り組んでいる様子が感じられます。
今回取材をした古宇利オーシャンタワーさんは那覇市中心部から90分ほど離れてはいますが、那覇から足を延ばすお客様を確実に取り入れてビジネスチャンスを活かしている「地元の成功事例」と言えます。運営元の名護パイン園さんに、免税のメリットをお伝えしてご理解いただき、免税化から免税販売開始まで実現して見事売上が向上しているというのは、多くの未対応事業者の皆さんにはマネをしていただきたいと思うところです。