【2020年4月より電子化導入済】エース株式会社
エースは1940年の創業以来、日本全国約90の直営店、さらには米国、欧州、中国、シンガポール、香港、マレーシアと海外拠点を広げ、世界中にエースブランドを浸透させつつあります。
エースでの主な取扱商品は、スーツケースと鞄、それに旅行小物が中心です。インバウンド客にはスーツケースが人気で、お土産を入れるために購入されたり、持ってきたスーツケースが壊れたから入れ替えるために購入されたりする方が多く、値段・容量・軽さが決め手になっているようです。取扱ブランドが複数あり、「カナナ」ブランドは特に中国の方に人気です。国によってブランドの認知度が異なります。
エースでの免税販売の歴史は古く、9年前から免税販売を行っています。手書きで帳票作成していた頃から店舗拡大のたびに免税店申請し、さらに2014年からは免税システムを導入して免税店として拡大してきました。
電子化に向けての準備
免税システムを提供してもらっている事業者から免税制度改正のことを伺ったことをきっかけに、2019年5月から電子化の検討を開始し、今年の4月から電子化をスタートさせました。
電子化の方法は承認送信事業者を介して国税庁へ送信する方法のみ検討し、POS改修に相当な時間と負荷がかかるため自社で送信を行うことは検討しませんでした。
自社で準備したことといえば、電子化対応まではパソコンで免税システムを利用していましたが、電子化を機にiPadに切り替えたことです。ポイントカードの登録にiPadを使うので、免税システムも同じ端末で使用できて便利になりました。
また、電子化前に税務署へ購入記録情報の届出書を提出する必要があったので、2月末頃に税務署へ86店舗分の購入記録情報の届出を提出し、3月上旬には識別符号が通知されました。
電子化されてからの変化
手書き対応していた頃は、お会計待ちの列ができお客様をお待たせしてしまうことがありましたが、システムを導入してからは手続きにかかる時間が大きく短縮されました。ただパソコンとプリンタの相性もあって印刷がうまくいかない等、手続きに時間がかかってしまうこともありました。
電子化後は紙の印刷やサインも不要なので、今後インバウンドのお客様がたくさん来られてもさらにスムーズに手続きができると期待しています。
電子化しても免税対象者の判定や必要事項の多言語での説明で困ることはあります。免税対象者判断のためのフローチャートを各店に配ったり、免税店.jpに掲載されている多言語ポップを掲示したり、接客会話シートを活用して対応する等してコロナ後のインバウンド回復に備えています。
免税制度に今後期待すること
海外で免税すると、空港の税関で免税購入品をチェックされ免税手続をすることになります。空港で税関の行列に並ぶのに時間がかかってしまい、飛行機に乗り遅れそうになったため免税手続きを諦めた経験もあります。それに比べて日本の免税制度は免税店で手続し、空港では税関でパスポートと免税購入品を提示するだけなので、利用者(インバウンド客)にとって素晴らしい制度だと思います。
一日も早くインバウンドが回復し、よりよくなった日本の免税制度を利用してお買い物していただける方が増えてほしいと願っています。