免税店紹介 バレルバレープラハ&GEN

voice 2016/12/22

焼酎の名産地・鹿児島県霧島市にあり、グループ会社に焼酎用種麹のシェア日本一を誇る㈱河内源一郎商店さんを持つ鹿児島の地元酒造会社です。

 (株)河内源一郎商店さんは昭和6年から鹿児島で種麹の製造・販売を開始し、今では焼酎、ビールなどの醸造と販売も行なっている地元事業者さん。なんとチェコの政府観光局、スロヴァキアの名誉領事も兼ねている地元の名士です。施設内レストランではスロヴァキアからの研修生2名が3か月間の日本就業体験をしています。

(株)バレルバレープラハ&GEN

 焼酎用の種麹を製造する会社は全国に5社しかないそうなのですが、全体の8割を作るのがこの河内源一郎商店のグループ会社である㈱バレルバレープラハ&GEN。実は業界では超有名企業なんです。
 そんな中でこのバレルバレープラハ&GENは免税店登録はもう20年近く前に済ませた、まさに「インバウンドの先駆者」。施設内の売店コーナーで免税販売を対応しています。今回は社長の山元紀子さんに話を伺いました。

(株)バレルバレープラハ&GEN

鹿児島空港のすぐ前にある絶好のロケーション

 鹿児島空港から徒歩でも訪れることができるくらい至近にあるため、鹿児島空港を利用するお客様には立ち寄りがとても便利なロケーション。バスの駐車場も広く、外国人も日本人もツアーバスの立ち寄りが多い場所です。到着後のランチ場所として、また出発前の最終ショッピング場所として来場が多く、本場チェコを思わせる風情は九州にいることを忘れさせます。

霧島市の免税店

 鹿児島県の免税店数は350店以上になっていますが、霧島市としてはまだ「10数店舗」らしく、大半は鹿児島市中心部にあるようです。鹿児島空港では国際線・国内線ターミナルに多くあることを考えると霧島市内にはひとケタかも。有名な温泉を持つエリアとしてはもっと高い数が望まれます。

免税販売はいつから? どんな方法で?

 「免税店としての登録は20年も前から対応してはいたものの、実際の販売はこの2014年の制度改正以降。霧島市が免税店になる事業者向けの補助金を設定し、それを活用して販売環境を整備しています。

 免税販売をするには会計POSシステムを免税対応にできればよかったのですが、現実にはその対応はしていません。まず売店中央のキャッシャーで課税で清算を済ませ、免税書類作成のカウンターに移動していただき、そこで消費税を払い戻して消耗品包装をしています。免税専用のPOSはとても高額なので、できるだけ経費を抑えられるようにやっています。酒税が変わるタイミングでは上手く対応したいですね。」

(株)バレルバレープラハ&GEN

注目する酒税免税

 2017年10月から開始される見込みの酒蔵でのインバウンド向け酒税免税。全国でもワインや日本酒、ウィスキーなどの醸造会社が注目する制度改正です。酒蔵ツーリズムと言われるように、全国の酒蔵に直接外国人が目指すルートができるかもしれません。

 鹿児島ではこのバレルバレープラハ&GENがこの消費税&酒税の双方免除販売を取り組むために準備をしています。焼酎は1升瓶でおよそ360円が酒税であり、消費税8%を加算すると2,000円の商品なら免税総額は500円近くになると想定されるので、利益を減らさずに25%近く他店より安く販売できることになるのです。これは酒蔵ならではの大きなメリットですね。

(株)バレルバレープラハ&GEN

 バレルバレープラハ&GENは焼酎以外にも霧島高原ビールを醸造しています。「ビールは今、全日空とコラボで販売している夢空という霧島の地ビールが人気です」と山元社長。霧島で作ってその場で販売するお酒類は、消費税と酒税をいただかなくても良くなるので、訪日旅行者にはとても嬉しいですね。

売れ筋の商品は

 売店にはお酒類の他にウインナーなどの肉の加工品、お菓子類の消耗品を中心に扱っています。
一般物品もボヘミアングラスや陶磁器、そして免税販売を強化してからはバッグを販売しています。

 特にこのバッグが良く売れるそうで、店頭の陳列品はすぐになくなっていくんだそうです。やはりたくさん購入するお土産をしまうためのバッグが必要なんですね。

(株)バレルバレープラハ&GEN

(株)バレルバレープラハ&GEN

(株)バレルバレープラハ&GEN

(株)バレルバレープラハ&GEN

 今年春以降にアジア系のツーリストの購入の様子が変わったようで、それまで売れていたソーセージなどの売れ行きが減ってきたとのこと。詳しく調べると、台湾での食品持ち込み制限に少々変更があり、食品の持込が厳しくなったようです。ただそんなことは気にせずに自分が連れてきたツアー客に案内するツアーガイドもまだいるらしく、現実はグレー。特にバレルバレーでは問題は発生していないそうです。

免税販売で困ったことは?

 食品の免税販売が多いため、定められた免税用のビニール袋に封入するのが大変。全国の多くの店舗で発生しているのと同様、代表者が買っても消耗品の包装を分割してほしいというリクエストに困っています。袋も決して安くはないし、他の店ではやってくれたと言われると困ってしまうのが現実のようです。
 また、店を出た後に袋を破いている風景を見て、せっかく一生懸命に袋詰めをしている努力が報われないと感じることも。

 取材時に、ビニール袋に消耗品の内容物一覧表を貼付していたことを知り、「それは無用な作業です」とアドバイス。結構手間をかけていたため、この作業が軽減されるだけでもかなりスピードアップと対応時間削減につながると喜んでいました。

(株)バレルバレープラハ&GEN

当然フリーWIFIも対応

 インバウンド対応のためには、語学・免税・クレジットカードと並んで重要なのがフリーWIFI。バレルバレープラハ&GENでは館内でのフリーWIFIを実現。これも霧島市の補助金を活用しているんだそうです。

 なぜWIFIが必要なのか? これはこのお店で楽しいと思った瞬間をリアルタイムなクチコミでアップロードしてもらえるからです。ホテルに帰ってからアップロードしてくれればいいと考えていては、クチコミのチャンスは逃げてしまいますね。

(株)バレルバレープラハ&GEN

取材を終えて

 免税販売をするお店があまり多くない霧島で、早くから認可を受けて対応されたのは驚きです。まわりには同様な土産店はなく、考え方によっては「周囲に競合店がないから免税しなくても売れる」という考えになってしまいがちでしょうが、訪日客へのサービスを考える山元社長はしっかりと免税対応を選択されたようです。消耗品が販売の中心なので包装作業にはご苦労が伺えますが、正しく且つ効率的に対応したいという考え方をお持ちです。

 「霧島市には酒蔵が7つあるので、連携して対応できたら地域創生につながるかも」と、制度改正を有効に取り込もうと奮闘中です。酒税ツーリズムを活用して是非商売繁盛と地域活性化に繋げていただきたいですね。

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