免税店販売現場のご紹介・北海道 洞爺湖温泉 エゾップランド柴田屋

voice 2016/4/21

北海道は2008年のサミットで知られる洞爺湖温泉。宿泊旅館が並ぶ温泉街に建つお土産と食事のエゾップランド柴田屋さんをご紹介します。免税知識がほとんどなかった社長が、たった一人で推進して免税販売を始めるまでになった店舗です。きっと参考になるはずです。

柴田屋

札幌から2時間、「支笏洞爺国立公園」にある、湖の真ん中に三角形の島(中島)が浮かぶ道南の名泉・洞爺湖温泉。その湖畔にある柴田屋さんは昨年12月に免税店になったばかり。これから実績を積んでいくお店ですが、これから免税店になろうかと悩んでいるみなさんにはとても身近な存在です。是非参考にしていただきたく、今回は社長の柴田賀生氏に取材を受けていただきました。

大都市ではない温泉街にあるお土産屋さんであり、現状を打破しようとする意気込みが強いお店です。販売している商品はほとんどが消耗品のお菓子類や郷土土産品です。

エゾップランド柴田屋

免税店になろうと思った理由は?

洞爺湖温泉に宿泊する外国人が温泉街を歩いているため、免税には以前から関心はありました。免税店になるために所轄の税務署に問い合わせたこともありました。その時は外国語が話せる人がいないとダメと言われ、あいにくそのようなスタッフがいなかったものですから申請をせずにいました。そんな折当店が加盟するJTBの土産店連盟の会議に出席したとき、JTBの社長が“これからはインバウンド需要取り込みのために外国人に免税を提供しなければビジネスチャンスを失う”と言われたんです。その会議では既に免税店になっている同業の方からも“税務署への申請は全然難しくない”と背中を押されたこともあり、もう一度トライしてみることにしました。外国人の宿泊者は相変わらず温泉街をたくさん歩いていて、なんとかこのチャンスを活かしたいと思っていたので、JSTOのご指導も受けて申請手続きを完了しました。

申請はどうでしたか? 不安は?

JSTOから事前に必要書類と添付書類の具体例をアドバイスいただいていたので、当店用のものを自分で作成しました。JSTOとのお付き合いは初めてだったので、マニュアルどおりに税務署に説明できるかが正直不安ではあったんですが、実際やってみたら全く問題ありませんでした。税務署に対しても“勉強させてください”という低姿勢で臨んだのが良かったのかもしれません。税務署には何回か通いましたね。丁寧に対応してもらえました。

外国人の状況は?

もともと旅館が近くにあるため、チェックイン後と夕食後に温泉街を散策する外国人が増えていました。1日に平均10~30人ほどの来店があります。8割方が中国の方のように感じますね。夜のショッピングのために営業時間も夜10時までにしているんです。旅館の売店がその時間までなので、負けてられないですからね。でもだいたいは9時くらいまでにショッピングを終える方が多いように感じます。

何を準備しましたか?

まずは店内の表示方法を変えました。総額表示(内税)で価格設定していたものを外税表示にしました。一目見てわかるように免税という表示も加えました。JSTOのホームページ(免税店.jp)でも免税のノボリやポスターを買いましたよ。

また、これまで使っていたPOSは免税対応ではなかったので、ハードウェアはそのままで中のシステムに免税プログラムを追加してもらいました。オーダーしてから1週間ほどで完了し、面倒な消耗品と一般物品の区分や、区分ごとの合計金額も一回の操作で対応できるようになりました。少々経費はかかりましたけど、これがあるとやはり便利です。

加えて、免税書類を作成するためのプログラムをJSTOから紹介してもらいました。パスポートをあっという間に正確に読みとって、POSから出てくるレシートを貼り付けるだけなので、とても簡単です。

観光庁の免税シンボルマークも申請して大きな看板を作ったんですが、ここ洞爺湖は国立公園のため看板の大きさや高さに制限があり、遠くまで目立たせる掲示ができないことがわかったんです。せっかく認可されたシンボルマークなので、温泉街を歩く人になんとか上手く見せたいですね。

免税の効果は?

まだ売上げ効果は測定できていませんが、外国人の来店は増えている気がします。

商品的には、当店ではメイドインジャパンの商品が必須条件です。今はメーカー側もそれがわかっているようで、日本製という表示が大きく目立つような商品が増えてきています。包丁、水筒、馬油、化粧品が良く売れています。

免税で困っていることは?

外国語が話せないので言葉の問題は確かにあります。ただ、実は日本語が話せない外国のお客様の方がたくさん買ってくれることがわかったんです。別に騙しているわけではないんですけど(笑)。

どうしても言葉で伝えないといけないのに意思疎通ができない場合は、東京にいる友人の中国人に電話をして、間に入ってもらっています。友人なのでいつでもどこでもOKで、とても助かっています。持つべきものは中国の友人ですね。

周囲のお店の様子は?

だんだん免税店が増えてきましたように見えます。当店の隣にも札幌のドラッグストアが新規出店をしてきました。旅館のお土産コーナーも免税販売を始めており、だんだんと拡大している様子があります。大きな旅館が多いので、旅館はほとんどが免税対応を始めるんじゃないかと思います。

免税対応して、感想は?

免税店になることは難しいと思っていたのに、実はこんなにスムーズだったなんて、きっかけとなった会議で話を聞いてよかったです。

お客様が求めている免税を提供できない土産店は、いわば“刀を持たない武士”だと思っています。これからも一生懸命免税をアピールして、歩いているお客様を店内に呼び込みます!

取材を終えて

柴田社長がコメントしている通り、お土産店の会議で免税の情報を聞き、その後の懇親会の席でたまたま筆者と名刺交換をしたことから免税店化の道が始まりました。同じテーブルには既に免税店になっていながら免税販売は開始していない方もいる中で、柴田社長は実に貪欲かつ積極的に取り組みを開始、あっという間に認可まで辿り着きました。

お店を訪問した際、ここで紹介するのはマズい表示方法をされており(失礼!)、“申請するまでにこれは直しておいてくださいね”というアドバイスにもすぐ対応いただきました。

それどころか、免税シンボルマークを使ったタタミ4枚分の大きさの「免税店」という看板も既に作られており、その行動のスピードと前向きな姿勢には驚きです。この看板は大きさが国立公園の規制に抵触してしまい、お蔵入りになってしまったそうなんですが、うまくアレンジして使えるようにこれからも応援したいと思います。

訪問したときはずっと店内で話を聞いていましたが、その間に入店してくるのは本当に中国系の観光客ばかり。3時間くらいのうちに20人以上は入店していました。温泉地域の散策は本当に売り時なんだなと実感しました。これまで他の場所でも「外国人の宿泊者は多いのに、夜遅くチェックインして翌朝早くチェックアウトして他の地域に行ってしまう」という話を聞いていましたが、この洞爺湖温泉はショッピングする時間があるため、夜遅くまでお店を開けて夕食後のショッピングにも対応しています。夜はどこにも行くところがなくなってしまったという訪日外国人を集めようと頑張っている地方免税店の模範になる対応だと感じています。

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