免税店販売現場のご紹介・増田園総本店

voice 2016/1/28

東京でも外国人密度が高いエリア・浅草。この浅草で免税制度が改正された2014年10月から積極的に免税販売に取り組んでいる日本茶販売の増田園総本店さんをご紹介します。

増田園総本店

地下鉄銀座線の8番出口を出た右手正面に店を構える創業150年の老舗。遊覧船下船場所と浅草寺を結ぶ導線上にあり、お店の前はひっきりなしに外国人旅行者が往来しています。このような状況のため、免税制度改正前から外国人対応は必須だったようです。クールジャパンの象徴のひとつである「日本茶」は外国人にも人気。決して広い売場面積がある訳ではありませんが、ご家族経営で一生懸命に対応していらっしゃいます。そんな忙しい中ですが、今回直接取材に応じていただきました。

増田園総本店

売上げアップ

「もともと外国人が多かったので、免税を開始したからと言ってお客様の数が増えたという感じはしません」とお店の増田寿子さん。ただ、「やはりお客様ひとりが購入いただく金額が上がりました」というコメントが続きました。これまでJSTOも「客単価のアップ」は間違いないと言ってきましたが、増田園さんではまさしく効率的に対応ができるようになったようです。「これまでは3,000円程度の購入額だった方にも免税をアピールすることで5,000円を超えるお買い物をしていただけるようになりました」と喜んでいます。個人旅行なのに専属通訳を付けた「セレブみたいな」お客様も増えているそうで、そんな人達によっても購入単価が上がっているのかもしれません。

どのようなものが外国人に売れているのでしょう?

「まんべんなく売れている感じです・・・」

消耗品であるお茶だけでなく一般物品の急須や湯飲みにも需要があり、「何に人気がありますか?」という質問には「これも・・・、これも・・・」と数々の商品を紹介されました。「これを20個まとめて買っていく人もいました」という「抹茶の里」。一袋400円(税別)なので総額8,000円になります。ほかにも日本を感じさせるデザインの茶筒、「品薄でなかなか入荷しない」という南部鉄瓶は11,000円くらいの価格帯のものに人気があるようです。

言葉の対応は・・・

浅草はあらゆる外国人が集中するエリア。日本茶の魅力は国境を越えてアピールできているようです。「フランス、ドイツ、イタリアなどのヨーロッパやインドネシア、フィリピン、タイなどのアジア、ロシア・・・」と次々に国の名前が出てきました。「どこが一番多いですか?」と尋ねると「フランスかな・・・」と意外な答え。フランス自体が年間8,000万人を迎え入れる国なので、お茶の文化も広まっているのかもしれません。

あらゆる国からの旅行者がやってくると心配になるのがコミュニケーションの問題。ここについては「英語でなんとかやってます」という力強いコメント。取材中もひっきりなしに外国人客が暖簾をくぐり、その都度取材中断でお客様対応が始まります。「場所がら道案内だけのことも多いんです」とボヤキも。店内に大きく貼ってある観光庁によるハローキティのポスターを見つけ、わざわざ信号の向こうからやってくる外国人もいるそうです。

英語も言葉だけでなく、JSTOの免税説明マニュアルをお茶販売用にアレンジしたり、ヘブライ語など驚きの日本茶多言語説明書も豊富に用意されていました。それでも足りないようで「税関の説明書はロシア語やポルトガル語、アラビア語も欲しい!」という前向きな様子です。

しかし何と言っても凄いのは、外国人が来ても全くモノオジしないその度胸。さすがです。

店内表示方法

まず外国人が気づくのが外から見たお店の様子です。「この暖簾を見てください。免税用に新しく作ったんです」というのが写真にある「TAXFREE」と入った暖簾。横にはJSTOの免税店.jpからダウンロードしたハローキティのPOP。

お茶の効能や淹れ方などはパッケージに英文表記を印刷したり、写真のように地域別のお茶の説明も掲示しています。

免税以外の外国人向け対応

我々日本人が台湾や香港などに行くと、中国茶の試飲体験ができるお茶屋さんがあります。増田園さんでも同じような対応をしているのかと聞いてみたところ、「日本茶は試飲用に準備しておくことが適さない。香りが飛んでしまうし、当店はドアがなく外気が入ってくるので、あまり適切ではない」という答え。店内でも充分な試飲スペースが確保できないことも理由のひとつ。

免税以外にはなんとイスラムのハラル対応のお茶も販売。これが結構売れるんだそうです。クレジットカードも当然銀聯カードをはじめ世界ブランド各社を利用できるようにされています。

ハラル対応のお茶

免税で困っていることは?

「日本茶の知識がまだ外国人に浸透していなくて・・・」と寿子さん。日本茶はひと匙7グラムで6杯程度淹れることができるのですが、外国人はコーヒーと同じように一匙一回と誤って理解しているので、値段が高いと思われてしまうそうです。コーヒー1杯はコンビニでも100円程度で、お茶は正しく淹れればコーヒーより安いのに、それが理解されにくいそうです。詰め合わせ商品などは高額に思われるのですが、いくつ入っているのか、そのひとつあたりがいくらになるのかをドル建てで説明すると理解してもらえます。「あっちのコンビニで売っているお茶の方が安い」という実に悲しい反応も。今は日本人もお茶離れが進んでお茶の知識がなくなっていることもあり、ガイドなどを通じて外国人に上手に説明するのは苦労がいるようです。

お茶が主力商品なので、免税販売としては消耗品を包装するビニール袋の準備が欠かせません。免税でなければもっと安価なビニール袋を使いますが、この免税用袋がもっと安く近隣の文具店などで購入できれば助かるというコメント。

従来使用していたPOSが免税制度が改正される前に壊れてしまい、新しくしたPOSがたまたま非課税機能を備えていたのが幸運。免税ボタンが付いているため、免税する商品はレシートにしっかりと「免」の字が印刷されています。「このPOSがあって、免税販売は本当に助かっている」と増田社長。ただ、「パスポート原本を持参しない外国人客が増えているんです。コピーを持っているんですが・・・」という話が。パスポート持参は免税購入の原則ですが、原本がないために免税不可になることが多いので、「日本に来る前に免税制度をしっかりと理解してもらえると助かる」という話もありました。

今年の5月から一般物品と消耗品の免税下限額が5,000円に揃うことはご存知でしたが、「一般物品と消耗品を合わせて5,000円になるんでしょ?」と理解されていました。2016年5月に予定されている制度改正は「下限額は統一されるが、一般物品と消耗品は合算不可」です。「合算できるようになると本当に楽になって、もっと売れるようになるんだけどねぇ」。更に売りやすい環境整備が期待されます。

取材を終えて

外国人が実に多い浅草地区ですが、実は免税店はあまり多くありません。そんな中で誰よりも先に免税店になることを検討して行動を起こした増田園さんは、苦労しながらも立派に免税対応をしているように感じられました。取材したのは平日の夕方5時半頃でしたが、取材中に欧米系、アラブ系の訪日客が立て続けに来店していました。

近隣に同業の日本茶販売のお店はいくつかありますが、免税を武器に多くの外国人旅行者を獲得しているようです。

外国人に日本文化を伝える最前線にいらっしゃるのでいろいろとご苦労をされていますが、「苦労」というよりは「楽しみながら」外国人対応をしているというように見えました。

制度改正が発表された2014年3月末から免税店化を検討するそのアンテナの高さと実行力はさすがと感じました。

実際に免税対応を始めて、あらゆるお客様への対応をするその実績が販売の自信につながっているのですね。

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